一般社団法人  徳島県薬剤師会
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検査内容 >>水道関係の検査 >>飲料水の検査 >>水質基準項目の性質・性状等 >>原水全項目検査

■原水全項目検査 水質基準項目の性質・性状等


No.1  一般細菌
基 準 値 100個/mL以下
性質・性状 水や土壌に生息している雑菌で、特定の条件で培養したときに、培地に集落を形成する細菌のことであり全ての細菌を表すものではない。
主な汚染源 し尿、下水の混入。一般細菌として検出される細菌の多くは病原菌ではないが、汚染された水ほど多く検出される。
影響・被害 病原菌は通常の細菌と比較して、塩素消毒に対する抵抗力が弱いので、一般細菌を汚染の指標としている。
対   策 煮沸消毒、塩素・オゾン・紫外線滅菌


No.2  大腸菌
基 準 値 検出されないこと
性質・性状 糞便汚染の指標としての信頼性を向上させるために大腸菌群が大腸菌に変更された。
主な汚染源 し尿、下水の混入。人や動物の腸内に生息する常在菌であり、その存在は糞便汚染の疑いを示す。
影響・被害 大部分の大腸菌は病原性を示さないが、ある一部の菌は腸管に感染して、下痢を主徴とする急性の腸炎を起こす。これを病原性大腸菌という。
対   策 煮沸消毒、塩素・オゾン・紫外線滅菌


No.3  カドミウム及びその化合物
基 準 値 0.01mg/L以下
性質・性状 地殻の存在量は極微量であるが、亜鉛と共存する形で自然界に広く分布している。
主な汚染源 鉱山廃水、工場排水の混入。充電式電池、露出計、ビニール安定剤などに用いられている。合金、メッキ、顔料、ゴム、写真材料、窯業材料などの用途がある。
影響・被害 イタイイタイ病の原因物質。急性中毒は嘔吐、めまい、胃腸炎を起こし、慢性中毒では異常疲労、貧血、腎臓障害、骨軟化症、タンパク尿の症状が見られる。
対   策 石灰軟化、イオン交換、凝集・沈殿・ろ過


No.4  水銀及びその化合物
基 準 値 0.0005mg/L以下
性質・性状 主要鉱物は辰砂。常温で唯一の液体金属。無機水銀と有機水銀に分けられる。
主な汚染源 工場排水、農薬、下水の混入。温度計、気圧計などの計器類のほかに、各種水銀化合物の原料として、また電極、触媒、水銀灯など用途が広い。
影響・被害 水俣病の原因物質。急性中毒は口内炎、下痢、腎臓障害、慢性中毒では貧血、白血球減少を起こし、さらに知覚障害、中枢精神障害を引き起こす。アルキル水銀に代表される有機水銀は腸管からよく吸収され、特にメチル水銀は脳神経に分布して特異的な神経症状を起こす。無機水銀は吸収率が低く、尿中への排泄が比較的多いのでその毒性はメチル水銀と比べれば低いが、腎臓障害を引き起こす場合がある。
対   策 石灰軟化、イオン交換、凝集・沈殿・ろ過


No.5  セレン及びその化合物
基 準 値 0.01mg/L以下
性質・性状 硫黄鉱床から産出。生体微量必須元素で、体内で生成する有害な過酸化物の代謝に関係している。
主な汚染源 鉱山廃水、工場排水の混入。光電池、整流器、半導体などの電気材料、触媒、色ガラス、塗料などの用途がある。
影響・被害 金属セレンの毒性は低いが、化合物には猛毒なものが多い。急性中毒では嘔吐、皮膚炎、全身けいれんなどの症状を起こし、慢性中毒では貧血、胃腸障害を起こす。
対   策 石灰軟化、イオン交換、凝集・沈殿・ろ過


No.6  ヒ素及びその化合物
基 準 値 0.01mg/L以下
性質・性状 自然界では銅、鉄、水銀、鉛、ニッケルなどの鉱物と共存している。
火山地帯の温泉水中に高濃度に含まれている場合がある。化合物は毒性が強い。
主な汚染源 温泉水、鉱山廃水、工場排水の混入及びヒ酸石灰やヒ酸鉛などの農薬の混入。ヒ素化合物はガラス、染料、顔料、医薬品、農薬の原料に用いられる。
影響・被害 3価及び5価のヒ素化合物として存在し、いずれも毒性を持つが、3価のヒ素の方が毒性が強い。
急性中毒では嘔吐、下痢、腹痛などがあり、慢性中毒としては爪や毛髪の萎縮、皮膚がん、肝硬変、知覚麻痺があり、脳炎を起こして死亡することもある。
対   策 石灰軟化、活性アルミナ、イオン交換、凝集・沈殿


No.7  六価クロム化合物
基 準 値 0.05mg/L以下
性質・性状 クロムは地殻中に存在するものの、水に対する溶解性が低いため、天然水中に存在することは希である。
水中のクロムは三価と六価の形で存在するが、ほとんどは三価で、六価のクロムが存在する場合は人為的につくられたものである。
主な汚染源 鉱山廃水、工場排水の混入。メッキ、皮なめし、顔料、触媒、木材防腐剤に使用される。
影響・被害 六価クロム塩を多量に摂取した場合、その強い酸化力によって、嘔吐、下痢、腎臓障害などを引き起こす。
慢性中毒としては肝炎を起こす。
対   策 石灰軟化、イオン交換


No.8  鉛及びその化合物
基 準 値 0.01mg/L以下
性質・性状 方鉛鉱、白鉛鉱として得られる。
主な汚染源 鉱山廃水や工場排水の混入、地質由来及び鉛管からの溶出。最近は水道管からの鉛溶出が問題視されたため、その使用範囲は水道メータの前後など一部に限られている。
影響・被害 急性中毒では嘔吐、腹痛、下痢を伴う急性胃腸炎を引き起こし、慢性中毒では食欲不振、貧血、頭痛、全身倦怠、神経障害の症状が現れる。
対   策 石灰軟化、イオン交換、凝集・沈殿・ろ過


No.9  硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素
基 準 値 10mg/L以下
性質・性状 硝酸イオンや硝酸塩に含まれる窒素及び亜硝酸イオンや亜硝酸塩に含まれる窒素のこと。硝酸イオンは有機及び無機の窒素化合物の最終的酸化物である。亜硝酸態窒素は、水に混入したアンモニア態窒素が酸化されて生じる場合が多いが、硝酸態窒素の還元によって生じる場合も多い。
主な汚染源 工場排水、農薬、窒素肥料、生活排水、し尿、腐敗した動植物の混入。
影響・被害 硝酸態窒素を多量に含む水を摂取した場合、体内で細菌により亜硝酸塩へと代謝される。
亜硝酸塩は血液中で赤血球のヘモグロビンと反応してメトヘモグロビンを生成し、呼吸酵素の働きを阻害するメトヘモグロビン血症を起こす。乳児(6ヶ月未満)への影響が大きい。
対   策 イオン交換、逆浸透


No.10  フッ素及びその化合物
基 準 値 0.8mg/L以下
性質・性状 自然界に広く分布しているホタル石はフッ化カリウムが主成分であるため、温泉地帯の地下水や河川水に多く含まれることがある。
主な汚染源 地質(温泉地帯)由来が主であるが、工場排水の混入もある。タイル、陶磁器、半導体の製造に用いられる。
影響・被害 フッ素を適量に含む水を飲用した場合には虫歯の予防に効果があるといわれているが、多量に含まれているとエナメル質が侵され斑状歯の原因となる。さらに摂取量が増えると骨硬化症を起こす。
対   策 電解法、凝集沈殿、活性アルミナ、骨炭法、逆浸透


No.11  ホウ素及びその化合物
基 準 値 1.0mg/L以下
性質・性状 動物や植物の必須元素で毒性は弱い。ホウ素は天然には遊離の形で存在せず、ホウ酸又はホウ酸塩として産出される。
主な汚染源 火山地帯の地下水や工場排水の混入。鉄合金などの硬度増加材、ガラス・陶器のエナメル合成、医薬品、防火剤に使用される。
影響・被害 慢性中毒では食欲不振、胃腸障害、皮膚障害などがあり、重症になれば血圧低下、ショック症状や中枢神経抑制による呼吸停止を起こす。
対   策 イオン交換


No.12  四塩化炭素
基 準 値 0.002mg/L以下
性質・性状 常温で無色、引火性があり、独特の臭いを有する水より重い液体で、クロロホルムに似た芳香臭がある。
水に難溶の揮発性有機塩素化合物である。
主な汚染源 フロンガス、ワックス、樹脂原料の製造や使用を行う施設等からの漏出、工場排水の混入等が疑われる。
影響・被害 人への健康影響は、吸入又は皮膚吸収により、肝臓、腎臓、心臓、消化器、神経系に障害を引き起こし、発がん性の疑いも持たれている。土壌中では、バクテリアやシルト(粘土)などの触媒反応によって、トリクロロエチレンを経て、より発がん性の強いジクロロエチレンに分解される。
また、オゾン層破壊の指定物質でもある(オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書)。
対   策 活性炭処理、ストリッピング(揮散)処理、エアレーション、水源の転換


No.13  1,4-ジオキサン
基 準 値 0.05mg/L以下
性質・性状 常温で無色、引火性があり、独特の臭いを有する液体の合成有機化合物である。
オイルやワックス、染料の溶剤、1,1,1-トリクロロエタン安定剤などに用いられる。
沸点101.1℃、融点11.8℃と性質が水に近いため、水からの分離は難しい。
主な汚染源 貯蔵タンクからの漏出、工場排水の混入等による汚染が疑われるほか、洗剤などの不純物として存在するため、生活排水からの汚染も心配される。
影響・被害 急性的には中枢神経や眼・皮膚・粘膜への刺激作用がある。また発がん性の可能性も示唆されている。
対   策 活性炭処理、生物活性炭処理、水源の転換


No.14  1,1-ジクロロエチレン
基 準 値 0.02mg/L以下
性質・性状 常温で無色、透明、揮発性、引火性があり、芳香臭を有する水より重い液体である。
酸化され易く、酸素と反応して過酸化物を生成し、爆発性を持つ。主に塩化ビニリデン(通称:塩ビ)、家庭用ラップ、食品包装用フィルムの原料として用いられる。
また、トリクロロエチレンやテトラクロロエチレンの分解生成物として出来ることもある。
主な汚染源 ポリビニリデンなどの樹脂原料の製造や使用を行う貯蔵タンクからの漏出、工場排水の混入等による汚染が疑われる。
影響・被害 人への健康影響は、神経の炎症、肝機能障害、頭痛、視覚障害等があり、反復暴露では肝臓や腎臓に障害が認められるほか、皮膚炎を発症した例もある。また、動物実験では発がん性を認めた報告もある。
対   策 煮沸、活性炭処理、ストリッピング(揮散)処理、エアレーション、水源の転換


No.15  シス-1,2-ジクロロエチレン
基 準 値 0.04mg/L以下
性質・性状 常温で無色透明、不燃性、水に難溶の揮発性有機塩素化合物である。溶剤、香料、熱可塑性樹脂の原料として用いられるほか、トリクロロエチレンやテトラクロロエチレンの分解生成物として出来る事もある。
主な汚染源 石油製品の製造過程や石油製造過程の漏出、溶剤・染料抽出・香料・ラッカーの使用を行う施設等からの漏出が考えられる。
影響・被害 人への健康影響は中枢神経の抑制作用が主で肝臓、腎臓の障害は少なく、肝障害作用は1,1-ジクロロエチレンより弱いとされている。低濃度の暴露によって、吐き気、眠気、疲労感、目まいが生じる。
対   策 エアレーション、オゾン酸化、活性炭処理、ストリッピング(揮散)処理、水源の転換


No.16  ジクロロメタン
基 準 値 0.02mg/L以下
性質・性状 無色透明、エーテル様の臭気がある揮発性の高い有機塩素化合物である。
水に微溶、アルコール及びエーテルに易溶で不燃性、非引火性を示し、湿気により加水分解する。
塗料の剥離剤、プリント基板の洗浄剤として使用される。
主な汚染源 殺虫剤、塗料、ニス製造や使用を行う施設等からの漏出や貯蔵タンクからの漏出、工場排水の混入等による汚染が考えられる。
影響・被害 人への健康影響は、急性的には中枢神経麻酔作用が有り、慢性的には肝臓・中枢神経に影響を及ぼす。
対   策 煮沸、エアレーション、活性炭処理、ストリッピング(揮散)処理、水源の転換


No.17  テトラクロロエチレン
基 準 値 0.01mg/L以下
性質・性状 無色透明、エーテル様の臭気がある揮発性有機塩素化合物である。
不燃性で水に難溶であり、溶剤としての溶解力はトリクロロエチレンよりやや弱いが、ガソリンよりかなり強い。
ドライクリーニング用の洗浄剤として利用されるほか金属加工部品の脱脂洗浄、化学製品等の原料、溶剤等として利用されている。
主な汚染源 ドライクリーニング・溶剤・フロン製造や使用を行う施設等からの漏出、石油製品の製造過程や石油製造過程からの漏出、工場排水の混入等による汚染が疑われる。
影響・被害 急性的には眼や鼻などの皮膚・粘膜への刺激・麻酔作用があり、慢性的には神経系・肝臓・腎臓へ影響を及ぼすほか、発がん性も疑われている。
対   策 エアレーション、オゾン酸化処理、活性炭処理、ストリッピング(揮散)処理、水源の転換


No.18  トリクロロエチレン
基 準 値 0.03mg/L以下
性質・性状 常温で無色透明の水より重い液体である。不燃性、水に難溶性で揮発性があり、クロロホルム様の臭いを有する。テトラクロロエチレンの分解生成物として出来る事もある。
油脂の溶剤としての溶解力はガソリンに比べ5〜7倍あり、分解されるとジクロロエチレンや塩化ビニルになる。主に、ドライクリーニング洗浄剤、金属洗浄用溶剤として使用される。
主な汚染源 溶剤、金属部品などを脱脂洗浄する施設からの漏出、貯蔵タンクからの漏出、工場排水の混入等が疑われる。
影響・被害 人への健康影響は、高濃度を吸入暴露すると、眠気、頭痛、吐き気や中枢神経の機能低下を引き起こす。
慢性的には、肝臓や腎臓への障害のほか、発がん性も認められている。
対   策 煮沸、エアレーション、オゾン酸化、活性炭処理、ストリッピング(揮散)処理、水源の転換


No.19  ベンゼン
基 準 値 0.01mg/L以下
性質・性状 常温で無色透明、水より軽い液体である。特有の芳香臭を有する芳香族炭化水素化合物で、水に難溶、有機溶剤に可溶である。
揮発性が強く、引火性、燃焼性が大きいが、化学反応性は低く、反応性の高い試薬によって置換、付加及び開裂反応が起こる。
合成ゴム、合成皮革、合成繊維等、合成繊維、農薬、可塑剤、防虫剤の原料として広く使用されている。
主な汚染源 ガソリンの燃焼・輸送や貯蔵施設等からの漏出、染料・合成ゴムの使用を行う施設等からの漏出、石油製品の製造過程や石油製造過程の漏出、工場排水の混入等による汚染が考えられる。
影響・被害 急性的には眼・皮膚・粘膜への刺激作用があり、慢性的には免疫・造血機能に影響を及ぼす(再生不良性貧血、白血病)。また、発がん性を示す物質である。
対   策 エアレーション、オゾン酸化、活性炭処理、膜ろ過処理、ストリッピング(揮散)処理、水源の転換


No.20  シアン化物イオン及び塩化シアン
基 準 値 0.01mg/L以下
性質・性状 水中のシアンはシアンイオン、シアン化合物及びシアン錯化合物、有機シアン化合物として存在するが、天然水中にはほとんど含まれていない。水道水では全シアンを対象としていない。
主な汚染源 シアン化物イオンは鉱山廃水、工場(メッキ工業、選鉱精錬、写真工業)排水の混入が主。
塩化シアンはシアン化物イオンの塩素処理や有機物と残留塩素との反応によっても生成する消毒副生成物である。
影響・被害 シアン化合物には強い毒性があり、経口摂取すると急速に粘膜から吸収され、血液中でシアンヘモグロビンを生成して酸素運搬作用を阻害し、めまい、頭痛、吐き気、痙攣、窒息症状を起こして死亡する。
対   策 アルカリ塩素法、オゾン処理


No.31  亜鉛及びその化合物
基 準 値 1.0mg/L以下
性質・性状 生体必須元素(日本人成人の摂取量は平均13mg/日)で、自然環境中に広く存在し、基準値は味覚と色の観点から定められている。
主な汚染源 鉱山排水や工場排水の混入、亜鉛メッキ鋼管からの溶出による。
影響・被害 高濃度に含まれるとお湯にした時に白濁(1mg/L以上)する。お茶の味を損なう。5mg/L以上になると、風呂などに汲み置きすると表面に油膜状に浮く。水に収れん味をつける。急性毒性では下痢・腹痛・痙攣を呈する。
対   策 石灰軟化、イオン交換、電気透析、逆浸透


No.32  アルミニウム及びその化合物
基 準 値 0.2mg/L以下
性質・性状 必須元素ではなく、基準値は色の観点から定められている。
主な汚染源 鉱山排水や工場排水の混入や、浄水処理で使用されるアルミニウム系凝集剤(酸化アルミニウム・ポリ塩化アルミニウム)による。
影響・被害 高濃度に含まれると白濁(0.1mg/Lを超えると水の変色の頻度が増加する)する。
ヒトへの有害な影響は明らかでない。
対   策 急速ろ過、膜ろ過、イオン交換、逆浸透


No.33  鉄及びその化合物
基 準 値 0.3mg/L以下
性質・性状 生体必須元素(1日必要摂取量は10mg程度)で、基準値は味覚及び洗濯物への着色の観点から定められている。
主な汚染源 地質、鉱山排水や工場排水の混入、鉄管からの溶出による。
影響・被害 高濃度に含まれると着色(赤水)や異臭味(金属味・金気味・収れん味・苦味)を呈する。
お茶・コーヒー・紅茶などが変色(タンニン鉄が生成)し、味が悪くなる。ほとんど無毒。
対   策 空気酸化、塩素酸化、接触酸化、生物酸化


No.34  銅及びその化合物
基 準 値 1.0mg/L以下
性質・性状 生体必須元素(1日必要摂取量は2mg程度)で、自然環境中に微量に存在し、基準値は洗濯物への着色の観点から定められている。
主な汚染源 鉱山排水や工場排水の混入、銅管を使用した給湯器や真ちゅう器具からの溶出、農薬の混入、生物抑制処理で使用する硫酸銅による。
影響・被害 青く着色する原因(数十mg/L以上)となる。アルミニウム器具・亜鉛メッキ鋼管・鉄製品などの金属製品の腐蝕を促進する。石鹸中の脂肪酸と反応して青色の不溶性「銅石鹸」をつくり衛生陶器・タイル・布類などを青く着色する。人体に対する毒性は低い。(緑錆も同様)
対   策 石灰軟化、イオン交換、電気透析、逆浸透


No.35  マンガン及びその化合物
基 準 値 0.05mg/L以下
性質・性状 生体必須元素で、地殻中に広く存在し、基準値は黒水障害の発生を防止する観点から定められている。
自然水中では鉄と共存し、その1/10程度が含まれる。
主な汚染源 鉱山排水や工場排水等の混入、湖沼などの貯水池や河川の底層水で溶存酸素がなくなると底質から溶出することがある。
影響・被害 高濃度に含まれると洗濯物の着色や黒水(消毒剤の塩素に酸化されると黒い粒子となる)を呈する。
対   策 酸化処理、接触ろ過、鉄細菌、急速ろ過、膜ろ過


No.36  ナトリウム及びその化合物
基 準 値 200mg/L以下
性質・性状 生体必須元素で、自然環境中に広く存在し、基準値は味覚の観点から定められている。
浄水用薬品として水酸化ナトリウム・次亜塩素酸ナトリウムなどが使用されている。
飲料水からの摂取量は食品由来に比較すると極めて少ない。
主な汚染源 海水の浸透、風送塩の混入といった自然由来や、浄水処理のpH調整(水酸化ナトリウム)、消毒処理(次亜塩素酸ナトリウム)による。
影響・被害 味に影響する。
対   策 ナノろ過、イオン交換、電気透析、逆浸透


No.37  カルシウム、マグネシウム等(硬度)
基 準 値 300mg/L以下
性質・性状 生体必須元素(Caは0.7g/日必要)で、硬度はカルシウムとマグネシウムの総和(炭酸カルシウムに換算)のこと。含有量によって、硬水・軟水と呼ばれる。基準値は石鹸の泡立ちなどへの影響を防止する観点から定められている。日本の水道原水の75%は50mg/L以下の軟水である。
 軟水:0〜60mg/L 
 中程度の軟水:60〜120mg/L
 硬水:120〜180mg/L
 極度な硬水:180mg/L以上
主な汚染源 地質、廃水の中和・凝集処理・重金属類の沈殿除去等に石灰を使用した場合や、コンクリートからの溶出、海水や下水の混入による。
影響・被害 味に影響(低いとタンパクでこくのない味、高いとしつこすぎる味)。
硬度が高いと石鹸の泡立ちが悪くなったり、胃腸を刺激して下痢を起こすことがある。スケール(かん石)はボイラの熱伝導低下やパイプ閉塞の原因となる。
対   策 ナノろ過、石灰軟化、晶析軟化、イオン交換、電気透析、逆浸透


No.38  蒸発残留物
基 準 値 500mg/L以下
性質・性状 蒸発乾固した時に残る物質(カルシウム・マグネシウム・ナトリウム・カリウム・ケイ酸等の塩類及び有機物)で、基準値は味覚の観点から定められている。
主な汚染源 ほとんどが地質に由来する。
影響・被害 味に影響し、高すぎる水は苦味を生じる。配水施設に腐食やスケールを生じることもある。
対   策 ナノろ過、イオン交換、逆浸透


No.39  陰イオン界面活性剤
基 準 値 0.2mg/L以下
性質・性状 合成洗剤の主成分で水に溶かした時、界面活性を示す部分(親水基)が陰イオンとなる界面活性剤のこと。
基準値は発泡を防止する観点から定められている。陰イオン界面活性剤(ABS)の製造工程で生じる副生成物である1,4-ジオキサンは、発がん性や変異原性の指摘がある。
主な汚染源 工場排水や家庭下水の混入による。
影響・被害 泡立ちの原因。
無害説:洗浄の目的からはなはだしく逸脱しない限り人の健康を損なうおそれはない。
有害説:催奇形性・急性毒性(経口)は軽度毒性(0.5〜5g/kg)。
対   策 緩速ろ過、活性炭、オゾン+生物活性炭、生物処理、ナノろ過


No.40  非イオン界面活性剤
基 準 値 0.02mg/L以下
性質・性状 水溶性で有効成分が電離しないもの。界面活性剤のうちイオンに解離する基を持たない物質の総称である。
エーテル型、エステル型、エーテルエステル型、含窒素型などがある。泡立ちの観点から設定されている。あ
主な汚染源 水に溶けたとき、水の硬度や電解質の影響を受けにくく、他の全ての界面活性剤と併用できる。
このように使いやすい性質を持っているため、近年、非イオン系界面活性剤の使用量が非常に増えてきており、水域環境中に広く存在する。
[家庭用日用化学品]:合成洗剤、複合石けん、各種洗浄剤(食器、住居用)、シャンプー
[産業用]:洗浄剤、乳化剤、分散剤等
影響・被害 基準値を超えると泡立ちはじめる。
対   策 活性炭


No.41  フェノール類
基 準 値 フェノールの量に換算して0.005mg/L以下
性質・性状 フェノールは水によく解ける白色結晶塊状で、大気中の水分を吸収して液化する。特異臭がある。
フェノール類とは、フェノール及び塩素化したフェノールの総称である。
飲料水の基準値は異臭味の観点から設定されている。
主な汚染源 原水中のフェノール類は主に防腐剤や消毒剤として、また医薬品、農薬、合成繊維、樹脂、染料等の製造原料として利用されている。フェノール類は自然水中に含まれていないが、ガス工場、化学工場、洗炭などの排水、アスファルト舗装道路洗浄水及び防錆・防腐剤などから水中に混入することがある。
影響・被害 フェノールを含む水は消毒剤の塩素と反応して、クロロフェノールとなり、水道水に異臭味を与える。
人への健康影響は中枢神経系の麻痺、消化器系粘膜の炎症、嘔吐、痙攣等である。
対   策 塩素処理、オゾン、活性炭


No.42  ジェオスミン
基 準 値 0.00001mg/L以下
※平成16年4月1日に布設されている水道により供給されている水は、平成19年3月31日までの間は0.00002mg/L以下であること。
性質・性状 かび臭を呈し、水中にごく微量含まれていても感知され、閾値は10ng/Lといわれている。
主な汚染源 湖沼、貯水池及び汚濁の進行した流れの緩やかな河川で繁殖するアナベナなどの藍藻類や放線菌等により産出される。
影響・被害 基準値を超えるようになると、かび臭を感じるようになるが個人差が大きい。
健康に影響を与える等の問題は起こっていないとされる。
対   策 浄水器の取り付け、緩速ろ過、オゾン、活性炭、生物処理、膜ろ過


No.43  2-メチルイソボルネオール
基 準 値 0.00001mg/L以下
※平成16年4月1日に布設されている水道により供給されている水は、平成19年3月31日までの間は0.00002mg/L以下であること。
性質・性状 墨汁のようなにおいを呈し、水中にごく微量含まれていても感知され、閾値は5ng/Lといわれている。
主な汚染源 湖沼、貯水池及び汚濁の進行した流れの緩やかな河川で繁殖するフォルミジウムやオシラトリアなどの藍藻類や放線菌等により産出される。
影響・被害 基準値を超えるようになると、かび臭を感じるようになるが個人差が大きい。
健康に影響を与える等の問題は起こっていないとされている。
対   策 浄水器の取り付け、緩速ろ過、オゾン、活性炭、生物処理、膜ろ過


No.44  塩化物イオン
基 準 値 200mg/L以下
性質・性状 急激な増加は汚染の疑いの指標となり、基準値は味覚の観点から定められている。
食塩目標摂取量は10g/日以下。
主な汚染源 海水の浸透・風送塩・温泉の混入といった自然由来、下水・家庭排水・工場排水・し尿の混入による。
影響・被害 味に影響。鉄管の腐蝕を促進する。(腐蝕障害を防ぐには塩化物イオン50mg/L以下が望ましい)
対   策 ナノろ過、イオン交換、電気透析、逆浸透


No.45  有機物(全有機炭素(TOC)の量)
基 準 値 5mg/L以下
性質・性状 水中に存在する有機物に含まれる炭素の総量を全有機炭素(TOC)といい、水中の有機物濃度を示す指標として定められた。
主な汚染源 土壌由来や、し尿、下水、工場廃水などの混入による。
影響・被害 一般的に、有機物が多ければ渋みがある。汚染された水ほど高い値になり、水質汚染の重要な指標になる。
対   策 浄水器の取り付け、凝集沈殿、ろ過、膜ろ過、オゾン、活性炭、生物処理


No.46  pH値
基 準 値 5.8〜8.6
性質・性状 pH7は中性で、これより値が大きくなるほどアルカリ性が強くなり、これより値が小さくなるほど酸性が強くなる。水道施設の腐食等を防止する観点から水質基準が決められている。
主な汚染源 貯水池では藻類が繁殖した場合にかなり強いアルカリ性となり、pH9〜10に達することもある。
井戸水やボーリング水は水質の変化が少ないので、急激に酸性やアルカリ性に変化したら、工場廃水や汚水などの混入が考えられる。
影響・被害 飲料水としては中性(pH値7)付近にあることが望ましい。
水道施設の腐食が発生する。
対   策 水源変更、アルカリもしくは酸処理、エアレーション


No.47  味
基 準 値 異常でないこと
性質・性状 水に溶存する物質の種類・濃度によって感じ方が異なる。亜鉛等の無機イオンは収れん味を、遊離炭酸は酸味を、無機塩類は塩味を、タンニンは苦味を与える。
主な汚染源 海水、下水、し尿、工場排水の混入、プランクトン、菌類の繁殖、地形の影響、凝集薬品の過剰注入、鉄分、亜鉛等の溶出による。
影響・被害 味と臭気は互いに関係することが多く、臭気のある水を口に含むと不快な味になるので、飲料水や生活用水には向かない。臭味が異常な場合は、水の汚染の可能性があり、飲料水として不適であるばかりでなく、原因の追究と対策が必要である。
対   策 浄水器の取り付け、活性炭処理


No.48  臭気
基 準 値 異常でないこと
性質・性状 水の臭気は、かび臭、生ぐさ臭、薬品性臭気、金属臭等に分類される。
主な汚染源 臭気は汚水の混入や藻類の繁殖、水の流れてきた地質によって生じる。
水道水において問題となる臭気物質は、藻類等の生物に起因するかび臭物質(2-MIB、ジェオスミン)やフェノール等の有機化合物が主である。
影響・被害 井戸水では土やカビの臭いがすることがある。味と臭気は互いに関係することが多く、臭気のある水を口に含むと不快な味になるので、飲料水や生活用水には向かない。臭味が異常な場合は、水の汚染の可能性があり、飲料水として不適であるばかりでなく、原因の追究と対策が必要である。
対   策 浄水器の取り付け、曝気、生物処理及び緩速ろ過、オゾン、活性炭


No.49  色度
基 準 値 5度以下
性質・性状 色度とは、水中に含まれる溶解性及びコロイド性物質が呈する黄褐色の程度をいう。
主な汚染源 自然水が着色している原因は樹木などの植物が腐敗・分解される過程で生じるフミン質が主である。
給水栓水では溶出する金属によって、亜鉛では白色、鉄錆では赤色、マンガン酸化物では黒色、銅では青色の着色現象がみられる。また、下水、汚水が混入することもある。
影響・被害 清澄な水は無色透明であるが、着色した水は健康に影響を及ぼすものが含まれている可能性がある。
対   策 浄水器の取り付け、凝集沈殿、オゾン、塩素、粉末活性炭


No.50  濁度
基 準 値 2度以下
性質・性状 濁度とは、水の濁りの度合いをいう。
主な汚染源 地下水では、溶解している鉄・マンガンが大気と接触し、酸化されて濁りを生じることがある。水道水では、水道管壁に付着した鉄錆などがはく離して濁りを生じることがある。
また、下水、汚水、土砂、薬品等が混入することもある。
影響・被害 清澄な水は無色透明であるが、濁度の高い水では、病原性微生物や水に存在する粒子に吸着された有害な無機物、有機物の中の健康に影響を及ぼすものが含まれている可能性がある。
特に水道原水にクリプトスポリジウム汚染源があると考えられる場合などは、慎重な処理・操作が必要となる。
対   策 浄水器の取り付け、凝集沈殿ろ過


 
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