一般社団法人  徳島県薬剤師会
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検査内容 >>水道関係の検査 >>飲料水の検査 >>水質基準項目の性質・性状等 >>消毒副生成物検査

■消毒副生成物 水質基準項目の性質・性状等


No.20  シアン化物イオン及び塩化シアン
基 準 値 0.01mg/L以下
性質・性状 水中のシアンはシアンイオン、シアン化合物及びシアン錯化合物、有機シアン化合物として存在するが、天然水中にはほとんど含まれていない。水道水では全シアンを対象としていない。
主な汚染源 シアン化物イオンは鉱山廃水、工場(メッキ工業、選鉱精錬、写真工業)排水の混入が主。
塩化シアンはシアン化物イオンの塩素処理や有機物と残留塩素との反応によっても生成する消毒副生成物である。
影響・被害 シアン化合物には強い毒性があり、経口摂取すると急速に粘膜から吸収され、血液中でシアンヘモグロビンを生成して酸素運搬作用を阻害し、めまい、頭痛、吐き気、痙攣、窒息症状を起こして死亡する。
対   策 アルカリ塩素法、オゾン処理


No.21  臭素酸
基 準 値 0.01mg/L以下
性質・性状 小麦粉改良材、パーマ用薬品として使用される他、次亜塩素酸(残留塩素)生成時に原料中の臭素が酸化されて生成する。無色で粘性のある液体であり、最高濃度は50%で低温保存する。
主な汚染源 オゾン処理時及び消毒剤としての次亜塩素酸生成時に、不純物の臭素が酸化されて臭素酸が生成される。
影響・被害 急性的には中枢神経の刺激作用や呼吸困難があり、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、中枢神経系の機能低下、発作、呼吸困難、肺浮腫などを引き起こす。また、発がん性の疑いも示唆されている。
対   策 除去方法は無い。次亜塩素酸(残留塩素)生成時に、臭素を含まない原料を使用するか、オゾン処理時にオゾンの注入率を低くしたり、pHをコントロールすることによって抑制される。


No.22  クロロホルム
基 準 値 0.06mg/L以下
性質・性状 特徴的な臭気のある、揮発性、無色の液体。
水道水中の消毒剤(残留塩素)と有機物が反応して出来る。水に難溶で、有機溶剤に易溶である。
常温で長時間日光に当てたり、暗所でも空気が存在すると徐々に分解し、ホスゲンや塩化水素、塩素を生じる。
主な汚染源 浄水処理過程で消毒用の塩素と水中のフミン質などの有機物質が反応して生成される。
消毒剤(残留塩素)の量、有機物の量、滞留時間、温度、pHによって増減する。
影響・被害 人への健康影響は麻酔作用、中枢神経の抑制がある。急性的には中枢神経や眼・肝臓・腎臓への刺激作用があり、慢性的には肝・腎への影響を及ぼす。また発がん性を示す。
対   策 消毒剤添加量の抑制、煮沸、エアレーション処理、ストリッピング(揮散)処理


No.23  ジブロモクロロメタン
基 準 値 0.1mg/L以下
性質・性状 常温で無色〜淡黄色、クロロホルム様の臭いを有する液体である。臭素の存在により生成量が大きく変化する。水に難溶、有機溶媒に可溶の有機ハロゲン化合物であり、臭素の存在により生成量が大きく変化する。
主な汚染源 浄水処理過程で、消毒用の塩素と水中のフミン質などの有機物質が反応して生成される。
消毒剤(残留塩素)の量、有機物の量、滞留時間、温度、pHによって増減する。また、生成量は原水中の臭素イオン濃度に大きく影響される。
影響・被害 人への健康影響は、胃腸からよく吸収され、肝臓で酸化し、ブロモラジカルとなり生体成分と反応して毒性を発現すると推定されている。
対   策 前駆物質…凝集沈殿、ろ過、活性炭、オゾン酸化、石灰軟化処理
生成物質…膜ろ過、煮沸、エアレーション、ストリッピング(揮散)処理


No.24  ブロモジクロロメタン
基 準 値 0.03mg/L以下
性質・性状 常温で無色〜淡黄色、クロロホルム様の臭いを有する液体である。
臭素の存在により生成量が大きく変化する。
主な汚染源 浄水処理過程で、消毒用の塩素と水中のフミン質などの有機物質が反応して生成される。
消毒剤(残留塩素)の量、有機物の量、滞留時間、温度、pHによって増減する。
また、生成量は原水中の臭素イオン濃度に大きく影響される。
影響・被害 人への健康影響は、消化により吸収され、肝臓で酸化されて、ジブロモカルボニル、あるいはトリブロモラジカル、ブロモラジカルとなり生態成分と反応して毒性を発現すると推定されているが、有用な情報はない。
発がん性に関する評価はIARCで2Bにランクされている。
対   策 前駆物質…凝集沈殿、ろ過、活性炭、オゾン酸化、石灰軟化処理
生成物質…膜ろ過、煮沸、エアレーション、ストリッピング(揮散)処理


No.25  ブロモホルム
基 準 値 0.09mg/L以下
性質・性状 特徴的な臭気のある、無色の液体である。光や空気に暴露すると黄色に変色する。
水道水中の消毒剤(残留塩素)と有機物が反応して出来る。
主な汚染源 浄水処理過程で、消毒用の塩素と水中のフミン質などの有機物質が反応して生成される。
消毒剤(残留塩素)の量、有機物の量、滞留時間、温度、pHによって増減する。
また、生成量は原水中の臭素イオン濃度に大きく影響される。
影響・被害 人への健康影響は、消化により吸収され、肝臓で酸化されて、ジブロモカルボニル、あるいはトリブロモラジカル、ブロモラジカルとなり生態成分と反応して毒性を発現すると推定されているが、有用な情報はない。
発がん性に関する評価はIARCで3にランクされている。
対   策 前駆物質…凝集沈殿、ろ過、活性炭、オゾン酸化、石灰軟化処理
生成物質…膜ろ過、煮沸、エアレーション、ストリッピング(揮散)処理


No.26  総トリハロメタン
基 準 値 0.1mg/L以下
性質・性状 クロロホルム、ブロモジクロロメタン、ジブロモクロロメタン、ブロモホルムの4種類の合計濃度を総トリハロメタンという。一般に、クロロホルムが最も多く生成されるが、海水等の影響を受ける原水では臭素化トリハロメタンが多い。トリハロメタンの生成量は、トリハロメタン前駆物質、塩素注入量、水温、pH値、塩素との接触時間、臭素イオン等の因子に依存して異なるが、これらの因子の値が大きいほど生成量が多くなる。
主な汚染源 クロロホルム、ジブロモクロロメタン、ブロモジクロロメタン、ブロモホルムの各欄を参照。
影響・被害 クロロホルム、ジブロモクロロメタン、ブロモジクロロメタン、ブロモホルムの各欄を参照。
対   策 クロロホルム、ジブロモクロロメタン、ブロモジクロロメタン、ブロモホルムの各欄を参照。


No.27  クロロ酢酸
基 準 値 0.02mg/L以下
性質・性状 常温で無色または淡黄色の結晶で吸湿性がある。
水によく溶け、独特の臭いを有する固体で、水溶液は酢酸より強い酸である。
水道水中の消毒剤(残留塩素)と有機物が反応して出来る。
主な汚染源 浄水処理過程で消毒用の塩素と水中のフミン質などの有機物質が反応して生成される。
消毒剤(残留塩素)の量、有機物の量、滞留時間、温度、pHによって増減する。
影響・被害 急性的には中枢神経や眼・皮膚・粘膜への刺激作用があり、腎臓・心臓に影響を及ぼす。
対   策 前駆物質…凝集沈殿、ろ過、活性炭処理
生成物質…活性炭処理


No.28  ジクロロ酢酸
基 準 値 0.04mg/L以下
性質・性状 刺激臭のある無色の液体である。水には溶けやすい。
水道水中の消毒剤(残留塩素)と有機物が反応して出来る。
主な汚染源 洗浄処理過程で原水中に、フミン質やフミン質に類似した成分が、消毒剤の塩素と反応し生成される。
消毒剤(残留塩素)の量、有機物の量、滞留時間、温度、pHによって増減する。
影響・被害 人への健康影響は、急性的には眼や鼻などの皮膚・粘膜への刺激作用があるほか、腹痛、灼熱感、ショックまたは虚脱状態を引き起こすこともある。
対   策 前駆物質…凝集沈殿、ろ過、活性炭処理
生成物質…活性炭処理


No.29  トリクロロ酢酸
基 準 値 0.2mg/L以下
性質・性状 常温で無色、水によく溶け、独特の臭いを有する固体で、潮解性に富む。
水道水中の消毒剤(残留塩素)と有機物が反応して出来る。
トリクロロエチレンやテトラクロロエチレンの分解生成物として出来る事もある。
主な汚染源 農薬(除草剤)、防腐剤などの河川への混入や原水中にフミン質及びフミン質に類似した物質が存在すると、消毒剤の塩素と反応し生成される。
消毒剤(残留塩素)の量、有機物の量、滞留時間、温度、pHによって増減する。
影響・被害 人への健康影響は皮膚や粘膜に強い刺激作用があるほか、肝臓障害、腹痛、灼熱感、ショックまたは虚脱状態を引き起こす。
対   策 前駆物質…凝集沈殿、ろ過、活性炭処理
生成物質…活性炭処理


No.30  ホルムアルデヒド
基 準 値 0.08mg/L以下
性質・性状 常温で無色、独特の臭いを有する気体である。水に溶けやすく、水溶液を「ホルマリン」と呼び、消毒剤や防腐剤に使われている他、さまざまな樹脂の原料となる。シックハウス症候群の原因物質とされている。
主な汚染源 合成樹脂や染料製造工場の排気及び排水、土木工事専用薬剤の混入により環境中に排出される。
飲料水では、浄水過程において、有機物質と塩素やオゾン等の消毒剤が反応して生成される。
影響・被害 急性的には眼や鼻などの皮膚・粘膜への刺激作用がある。また発がん性を示す。ホルムアルデヒドガスを吸入すると、眼、鼻、呼吸器が刺激され、くしゃみ、咳、よだれ、涙が出る。
高濃度になると、呼吸困難、肺浮腫などを発生することもある。
対   策 前駆物質…凝集沈殿+ろ過、活性炭処理
生成物質…活性炭処理


 
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