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薬事情報センターより

 

◆こんな症状ありませんか?

  • 手足がしびれる
  • 手足に力がはいらない
  • 手足・肩・腰・全身の筋肉が痛んだり(筋肉痛,圧痛),こわばったりする
  • 全身がだるい
  • 尿の色が赤褐色になる(ミオグロビン尿といわれる)

◆横紋筋融解症

横紋筋融解症は,筋肉をつくっている骨格筋細胞に融解や壊死が起こり,筋肉の成分が血液中に流出してしまう病気です。
その際,ミオグロビンが大量に流出し,腎臓に負担がかかる結果,尿が出にくくなるなどの腎障害を起こしてしまうことがあります。
ミオグロビンは,主に心筋や骨格筋に含まれているヘム蛋白質のひとつで,筋肉組織内に血液中の酸素を運ぶ働きを持っています。
横紋筋融解症の原因には,圧挫症候群や痙攣などによって筋肉に強い衝撃が加わって発症する場合や,熱射病,薬物,代謝異常などがあります。
その他,心筋疾患,甲状腺機能低下症なども血中ミオグロビン値を上げる原因ともなります。
症状・処方薬にご心配のある方は,かかりつけの医師もしくは薬剤師にご相談ください。

〔参考〕
  独立行政法人医薬品医療機器総合機構 https://www.pmda.go.jp/
    重篤副作用疾患別対応マニュアル(患者・一般の方向け)

◇気になる検査項目

検査項目 参考のための基準値(検査方法)
AST(GOT) 10~40  IU/L(UV)
ALT(GPT) 5~45   IU/L(UV)
ALP 110~330 IU/L(JSCC)
LDH(乳酸脱水素酵素) 120~240 IU/L(UV,乳酸基質)
CK (CPK) (男性)57~197 IU/L(UV)
(女性)32~180 IU/L(UV)
ミオグロビン (血清)60ng/mL以下
(尿)10ng/mL以下

 

◆横紋筋融解症の原因となるお薬(例)

薬物カテゴリー 医薬品例(添付文書「副作用」に記載のあるもの)
脂質異常症
治療薬      
 HMG-CoA還元酵素阻害剤 アトルバスタチンカルシウム水和物,フルバスタチンナトリウム,プラバスタチンナトリウム,シンバスタチン,ピタバスタチンカルシウム
 フィブラート系薬剤 クリノフィブラート,フェノフィブラート,ベザフィブラート,クロフィブラート,クロフィブラートアルミニウム
 その他 プロブコール,コレスチミド
抗生物質製剤  ニューキノロン系抗菌薬 オフロキサシン,塩酸ロメフロキサシン,ガチフロキサシン水和物,プルリフロキサシン,スパルフロキサシン,ノルフロキサシン,トシル酸トスフロキサシン,メシル酸パズフロキサシン,エノキサシン,フレロキサシン,シプロフロキサシン,レボフロキサシン
 マクロライド系抗生物質 クラリスロマイシン
 β-ラクタム系抗生物質 ピペラシリンナトリウム,塩酸セフカペンピボキシル,ファロペネムナトリウム,タゾバクタムナトリウム・ピペラシリンナトリウム
 神経系に作用する薬 ブロムペリドール,ハロペリドール,デカン酸ハロペリドール,リスペリドン,塩酸ペロスピロン水和物
 抗うつ薬 塩酸クロミプラミン,塩酸マプロチリン
 躁病・躁状態治療薬 炭酸リチウム,バルプロ酸ナトリウム
 ベンゾジアゼピン系睡眠薬 フルニトラゼパム
 キサンチン系気管支拡張薬 テオフィリン,アミノフィリン,コリンテオフィリン,プロキシフィリン,ジプロフィリン
 解熱消炎鎮痛薬 ジクロフェナクナトリウム
 免疫抑制薬 シクロスポリン
 痛風・高尿酸血症治療剤 アロプリノール,コルヒチン
 上記以外に,消化性潰瘍治療薬,総合感冒薬,高血圧治療薬,骨格筋弛緩薬,抗真菌薬などがあります。

 

2004 09 02

◇治療例

  • 服用の中止
  • 輸液療法
  • 血液透析

お心当たりのある方は,専門家(医師,歯科医師,薬剤師など)にご相談下さい。

参考文献
(1) 日本薬剤師会雑誌 日薬医薬品情報  Vol.7 No.6 2004 日本薬剤師会
(2) 重大な副作用回避のための服薬指導情報集  No.1 薬業時報社
(3) 月刊薬事 Vol.40 No.4 1998 薬業時報社
(4) 日本医薬品集DB  2004年4月版 日本医薬情報センターじほう